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2006年7月26日 (水)

マドリッドのルカ-20

Hura11
 スペインの朝は遅い。この国の太陽は遅く落ち、遅く昇るのだ。私たちの飛行機は、ホテルを9時には出なければ乗れない。国をあげての宵っ張りのこの国で、7時半ではまだアパートの8階の住人が起きないという。私は、あの、大きな時代物の鍵を思い出す。二人の住んでいたアパートは、表玄関と、8階入り口と、そしてジンの部屋と3つの鍵が侵入を拒否しているのだ。
「よし、じゃあ、7時行動開始として、それまで眠ろうよ」
 とても、眠る状態にはなく、朝はすぐやってきた。私たち3人はタクシーで、ジンのアパートにやって来た。もう、7時半である。玄関は開いていた。エレベーターで8階に上がる。ルカは唇に指を立て「ここで待っていて」と言って、8階のベルを押し続ける。誰かが中から鍵を開け、ルカが扉の中へ消えた。
「ギャアーッとでも聞こえたら一目散に飛び込まなくっちゃ」私と母親はエレヴェーターの陰に身をひそめて、こらえきれなくて、声を殺して笑った。TVドラマの主人公みたい。深刻な場面なんだけど、興奮していて、高ぶった笑いをこらえられない。
 ルカが大きなポリ袋を両手に持って出てくるまでに20分。7時50分だ。「バカね。大事な物から持って出てくればいいのに」ルカは、又部屋へ。時計をにらんで私たちは待つ。ルカが2度目の荷物を持って現れて8時5分。
 とりあえず目の前の荷物を1階へ降ろさなくては。私は荷物の番に1階に残り、ルカの母親が上がって行った。管理人が出てきて、私を職務質問する。スペイン語はゼロだから、ただ、「ルカ、ハポン、ルカ、ハポン」と繰り返すばかり。ハポンとは日本のことだ。胡散臭そうな管理人の問いに辟易するうち、ルカと母親が降りてきた。ルカの顔を見た管理人は、わたしの犯罪者扱いを謝って管理室へ退散した。
 私はルカの母親の格好を見て、たまらず大声で笑い出した。彼女は7月のマドリッドに冬のオーバーを着て、脇の下にブーツをはさみ、夏帽子をかぶってトランクとスーツケースを押していたのである。横断歩道を渡ってタクシーをつかまえる。出勤途上の人が笑いながら、荷物を持ってくれた。ホテルに転がり込んだのが8時半、私のトランクに詰め込めるだけ詰め込んで、8時45分。母親のトランクは鍵を盗られて開かない。荷物は無事にポーターの手に渡るだろう。こうして、私と母親はルカに見送られてホテルを発った.。しかし、この話はこれで終わったわけではなかった。(No375)

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コメント

展覧会も9月までなし。ちょっとのんびり。久しぶりで図書館へ。夏休みで座る所なし。コンクリートの冷やっこい壁にもたれて床に座り込んで2時間。うれしいじゃありませんか。もう返しに行くのがメンドウだから借りることはしなかったけど。 皆様、コメント有難うございました。「マドリッドのルカ」は、書くことが無いってんで、古いエッセー集から引っ張り出したもの。すべて、事実です。明日でお終い。さあ、又、ブログのネタ探しが・・・

投稿: 山口ももり | 2006年7月27日 (木) 05時47分

山口ももりさま

梅雨明け宣言 訂正します。
県の北部に警報が出ました。

投稿: りりー姫 | 2006年7月26日 (水) 18時13分

エッ?一緒に帰るんじゃなかったの?荷物を大変な思いをして取りに行ってそれで?どうなっちゃうの~!パスポートは返してもらったんだっけ?
もう!ルカちゃん ちゃんとしなさい!

投稿: nyar-nyar | 2006年7月26日 (水) 16時15分

山口ももりさま おはようございます!

朝早くからのご訪問嬉しく思いました。(^^)
大雨を心配していただきましてありがとうございましたm(__)m

投稿: りりー姫 | 2006年7月26日 (水) 06時23分

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