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2006年7月23日 (日)

マドリッドのルカ-17

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 ジンは11時かっきりにやって来た。昨日は拙いけど英語で一生懸命対応したけれど、私には、もうルカと日本語で話す以外、ジンと話す気は無かった。彼は所在なげに、私たちの日本語の会話を眺めていたが、小さくリズムをとって手拍子を打ったり、首を振ったりして気にする風もない。どこか飄然としていて生臭くない。ルカの母親は、添乗員と大使館へ出かけて行った。引ったくられたパスポートの再発行がなされる。
 間もなくマノロ氏がやって来た。やせて、ノッポの彼はやさしい男前で、もっさりと口ひげが口の周りを覆っている。今、カナリア諸島のテネリフェで大きな工事を請け負っていて、昨日帰って来たところだという。いくつもの会社を経営する彼は
「私はスペイン人らしくない。昼も夜も、土曜も日曜も働いている」と言った。彼は怖ろしく早口で、なるほど、これではルカのスペイン語は役に立たない。マノロ氏のスピードにつられて、ジンの英語が速くなり、私がジンの英語についていけない。結局ルカの通訳で、会話は3段階でまどろっこしいことこの上ない。ともかく彼は忙しい。運転しながらジェスチャーは入れるし、社外風景のガイドもつとめる。
「今、通ったあのビルの黄色い外装、あれは、私の会社の仕事だ。この道、毎年、マラソンで走っている。仕事ばっかりの人生で、走るっている時だけが息抜きだ」
「そんなにお忙しいのに、私の個展のお世話までしていただいては、もう一つマラソンを増やさなければいけませんね。京都でも、マラソンはありますよ。どうぞ、ゼヒ京都で走って下さい。京都をご案内したいですよ」
「ハッハッハッ、この道、この辺りでいつもハレルヤコーラスのレコードをかけてる人がいて、走ってると「ハーレルヤ ハーレルヤ、がーんばれ ガーンバレ」って、とても、息が合うんです」
 車はマドリッドから郊外へ抜け、高級住宅街に入った。ミラシエラはマドリッドの郊外、半時間あまりの所にあった。荒涼とした内陸のマドリッドだが、ここ、ミラシエラの家々には花が咲き、木々の緑も多い。目指す会員制の保養所は、美しいプールが2つ、テニスコートが12面、ゴルフの打ちっぱなしから託児所まである。建物の中には、ホールやレストラン、バー、ギャンブルをする部屋があり、私の個展の予定会場はラウンジルームである。時期は来年11月。1年半先のことである。全ては、予想以上に快調に決まった。(No373)

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コメント

大変な被害が出ている大雨。被災地の皆様にはお見舞い申し上げます。こんな時、気楽に思い出話をお喋りしていて・・・申し訳ありません。でも、もう、どうにもト・マ・ラ・ナ・イ!!!

投稿: 山口ももり | 2006年7月24日 (月) 08時13分

こんばんは、ももりさん。
今入れたコメントが消えてしまいました。
ちょっとガッカリ。
マノロ氏のスペイン語は凄く早口なのね~~。
マノロ氏のスペイン語をジンが訳し、それをルカちゃんがももりさんに伝えるのね~。
大変ですね。
でも、どんどん展覧会の話が決まってよかった。
ただ、ルカちゃんが日本にすぐにお母さんと帰ると言ってくれないのが気になります。
早く、ルカちゃんが、お母さんと日本へ帰ると言ってくれるといいな~~。
次が気になります。

投稿: 浜辺の月 | 2006年7月23日 (日) 23時15分

ももりさんの展覧会の話はドンドンまとまっていくのに、ルカちゃんの話は停滞したままなのですね!煮え切らないジンの態度も第三者で一読者でいる私まで不愉快にさせます。傍にいるももりさんのお腹立ちも伝わってきますよ。次の展開に望みを持って・・・

投稿: nyar-nyar | 2006年7月23日 (日) 22時16分

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