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2006年7月24日 (月)

マドリッドのルカ-18

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 ミラシエラの支配人にも会ってOK.個展の予定は快調に決まった。ボリビア人の友人が以前、ここで個展をした時、私の絵の写真を何点か見せてくれていて、応諾はもらっていたのだから。「向こうのオープニングパーティーは、そりゃあ、凄かったよ。人で絵が見えないほどだった」と彼女は言っていた。彼女の義弟が、このマノロ氏なのである。会場に引き続いてマノロ氏の自宅に行く。先ほどプールで泳いでいた少年も一緒だ。マノロ氏の次男のこの少年がなんとも美しい。水面に映る自分の姿に見とれて水仙になったというナルキッソスもかくやと思う。美しい奥さんにも紹介され、その次に額屋へ行った。明るくキチンと整理された店内は、ここもやはり昼休みだったが、昨日ジンが連れて行ってくれたところとは、これ程対照的なところもあるまい。
「何もかも任せてください。そのほうがこちらもやりやすいですよ。あなたは素晴らしい作品を作って下さい」
ルカが横でフーッとため息をついた。
「違いますねえ。何もかも」
「ルカちゃん。男はこうでなくっちゃ。有能な男はみんな忙しくしてるわよ。日なか、小娘のお守りをしているなんて、全くお話にならないよ」
 ステキにおいしい魚料理を、明かるいレストランでごちそうになり、又、マノロ氏は次の打ち合わせに出かけて行った。私たちはホテルに戻った。ともかく私の方の旅の目的は果たせた。ルカの母親も再発行されたパスポートを持って戻っていた。「とも角、荷物をまとめます」と言って、ルカとジンは帰って行った。
 部屋で休むという母親を残して、私は一人、スケッチブックを持って街に出た。マドリッドの夜7時は、まだ陽が差している。しかし、さすがに日中のあの耐え難い暑さはなく、テラスで飲む冷たいビールは、たまらなくおいしい。特に、生ハムは酸味がきいて、コリッと歯ごたえがよく、スパイスがきいて野生的でたまらない。「日本で聞いてきた話と、一分の齟齬もない。個展はきっとうまくいく」わたしは、ゆっくりビールを飲み干した。
 かって、第二次世界大戦前後、このアルカラ大通りを外国人義勇兵の国際旅団が道いっぱいになって行進したのか。ヘミングウエイも、アンドレ・マルローもいただろう。「インター・ナショナル」の歌声が響き渡ったにちがいない。今は恋人たちが行き交うアルカラ通りは、少しずつ暮れていく。
 その夜、ぐっすり眠り込んでいた私たちの部屋の扉をひそかにたたくものがあった。午前2時である。(No374)

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コメント

 またまた男爵様参上です!
 いやー、文中に気になる一行がありました。
 何だか男爵様のことを言ってるみたいで、続けるのが恥ずかしいなー!
 「有能な男は皆忙しくしているよ」だって・・・ギャハハハ(~_~;)。
 男爵様そのものだよ!            これ以上ピッタリの表現方法は無いね。(疲れるなー)
 でも時々小娘の守もするからなー!      男爵様参ったよ!どうしよう????

投稿: 男爵 | 2006年7月24日 (月) 23時08分

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